セカイの3DMVの魅力
プロジェクトセカイの3DMVには、何度も観たくなる魅力があります。全体的に心地よい作りに仕上がっていて、美しい世界にキャラクターと視聴者が共存しているかのような、そんな気分に浸れます。
今回はその理由について考えてみました。3DMVの良さを感じていただければ嬉しいです!
全体的にスッキリしている
3DMVの第一印象は、とても綺麗です。澄んでいて、クリーンな雰囲気が漂います。これはキャラクターデザインと、広いステージのおかげだと思います。
デザインはすっきりしていて、あまり飾り気のないシンプルな印象があります。3Dモデル的にはポリゴン数が抑えられているとも言えますが、これは意図的なもので、「バーチャル・シンガーたちのパッケージと並べても違和感のないテイスト」を意識して制作しているそうです。
確かにボーカロイドたちは、比較的シンプルな見た目ですよね。オリジナルキャラクターのデザインが細かすぎると、通常の衣装で踊らせたときに、バーチャルシンガーが浮いてしまう可能性があります。加えて、必要な処理が減らせることから、多くの方のスマートフォンで動作させることができるでしょう。デザインはシンプルですが、髪型や衣装にバリエーションがあるため、3DMVを見ていてそこまで気になりません。
また、ステージが広いことからキャラクターが自由に動き回ることができ、映像にしたときに空間の余裕が生まれやすいと考えられます。力強さや熱さは控えめになるかもしれませんが、個々のキャラクターは映えています。
ライブパフォーマンスの臨場感というよりは、額縁で飾る「作品」というイメージですね。緻密に仕上げられた芸術品のような美しさが、鑑賞者の心を掴みます。
キャラクターの動きが正確
Leo/needのメンバーたちは楽器を正確に演奏しています。筆者はギターを少し触ったくらいなので他の楽器については分からないのですが、これほど自然に腕と指が動いている3DMVは稀です。初めてセカイを訪問したとき、穂波ちゃんがドラムを見事に叩いているのをみて驚きました。まるでミュージシャンが中に入っているかのようです。
MMD制作のように手動でモーションを作っていくのはほぼ不可能なので、モーションキャプチャー技術のおかげだと思われます。ボーンを一つずつ移動させて記録していくのは途方もない時間がかかりますからね。実際に制作現場では、演奏されている方の動きを収録したり、録画した映像を参考に調整しているとのことです。
志歩ちゃんの動きも、現実のベーシストさんのパフォーマンスのようで、とても格好いいです。咲希ちゃんもしっかり弾いていますし、なにより動きが可愛いですね。
他にも、ワンダーランズ×ショウタイムの『potatoになっていく』では、メンバーがステッキを持っているのですが、これも驚くべきです。物を持たせて踊らせる場合、少しでもズレると服に食い込んでしまうので、難易度が高いはずです。こうしたMVを見ると、楽しさや美しさより先に、すごーい!と思ってしまいます。
原曲やProject DIVAの要素を取り入れている
セカイのメンバーが歌う中にはカバー曲がありますが、その3DMVにはオリジナルPVを思い出せるような工夫が施されています。制作陣は「必ず何かしらのリスペクト要素を入れて」いるという話があり、ファンとしては嬉しいですね。
例えば、25時、ナイトコードで。の『メリュー』では、夕焼けのようなオレンジや紺色のライト、電車が流れる演出、左から右に流れる光るキューブといった、原曲のPVで見られる要素が再現されています。
また、ワンダーランズ×ショウタイムの『スイートマジック』では、Project DIVAのステージを参考にしてお菓子の要素が取り入れられているとのことです。
PVを見たことがある方やProject DIVAをプレイしたことがある方は、きっとプロセカの3DMVに親近感が湧くでしょう。一方で、3DMVを通じて初めて曲に触れた方は、後でオリジナルのPVやMVを見ることで新たな発見があるかもしれません。
このようなアプローチは、アーティストとファンへの敬意が感じられて良いものです。
MVごとに新しい試みがある
プロジェクトセカイは3年目に入り、演出のバリエーションもどんどん増えてきています。制作陣は「MVを作るごとに、新しい仕様をいれている」という話をしていて、3DMVが発表されるたびにワクワクします。
ここ最近で印象的だったのはMORE MORE JUMP!の『DREAM PLACE』です。MVからはリアルさを感じますが、これは照明が大きな役割を果たしていると思われます。
全体的に暗めの設定で、強いライトが上部から当たることで、キャラクターの体の前面が影になります。これにより髪や服装の色が濃くなり、まるで部屋の中で踊っているように見えます。華やかなステージとは対照的に、落ち着いた雰囲気が新鮮でした。
他にも、Leo/needの『the WALL』では舞台が体育館になり、『ロストエンドファウンド』では学校を飛び出して草原の中へと移ります。これまで教室が主な舞台でしたが、今後はさまざまな場所での演奏に期待できます。
制作陣からは「MVには裏テーマや深い意味が込められている」という話も聞けており、次回作がどんなものになるのか、ファンとしては毎回楽しみになりますね。
キャラクターの個性や心情が表現されている
プロジェクトセカイでは、ユニットごとに独自のテーマや振り付けが存在しています。Vivid BAD SQUADのキレのあるダンス、MORE MORE JUMP!のかわいらしさ、25時、ナイトコードで。のしなやかな動き、ワンダーランズ×ショウタイムの楽しいショー、そしてLeo/needの語りかける演奏といった、それぞれの特徴が際立っています。
またユニット内では、パフォーマンス中にメンバー同士が視線を交わしたり、個性的な動きをすることで、キャラクター同士の関係も伝わります。
例えば、25時、ナイトコードで。の『ヴィラン』では、瑞希の悪い顔と、まふゆが途中で見せる怒ったような表情が怖くて印象に残ります。そして最後にカメラが下を向く演出もあり、独自の世界に心を奪われますね。細かいところにキャラクターの個性が出ていて、感情移入もしやすいと感じます。
また、初音ミクの『Tell your world』では、ミクの表情が感情豊かです。穏やかさから快活さへの変化が、セカイの支配人としての彼女の雰囲気をうまく表現しています。
ユニットのテーマ、曲の世界観、キャラクターの個性、そしてキャラクターの心情。これらが見事に調和した表情や仕草が、3DMVの魅力を引き出しています。
新しい技術が使われている
対応しているスマートフォンを使えば、高リフレッシュレートでの再生が可能です。60fpsでも十分に滑らかではありますが、動きが激しい部分は少しカクつくことがあります。また、キャラクターを目で追ったとき、ブレによって表情や体の動きが見えづらいことがあります。120fpsで再生すると、とても滑らかで自然な映像が楽しめます。高スペックのデバイスがあれば、高画質な再生ができるのは嬉しいですね。
また、被写界深度の表現がうまく活用されています。これは背景をぼかす効果で、リアルタイムで描写するには処理能力が必要です。プロセカでは最適化された処理により、性能の高くないデバイスでも再生が可能になっています。『Needle』の教室背景や、『メリュー』の冒頭部分が良い例です。カメラのボケと比べると、ややゼリー状に感じることがありますが、何度も見ているうちに気にならなくなります。
さらに、別記事でも紹介しておりますが、遅延設定を調整することで、映像と音声を完全に同期させることができます。これにより、リズム感が高まり、迫力や楽しさが増します。
まとめ
プロジェクトセカイの3DMVは、芸術的な作品としてストーリーを伝えるものとなっており、美しく洗練された雰囲気が特徴です。
また、メンバーの個性や、イベントの進行による心情の変化、ユニットとして発信したいメッセージなどがMVで表現されています。また、MV内にも楽曲の世界観に合わせたストーリー展開があり、まるで物語を観ているような感覚になります。
そして、緻密に練られた舞台演出やカメラワーク、細かな仕草や表情の違いなど、感情移入を促す要素が盛りだくさんです。さらに、キャラクター同士の絆や視聴者への思いのほか、いわゆる「尊さ」も感じられ、視聴者として真剣に受け止らざるを得ません。
映像の美しさ、ストーリーの面白さ、ファンサービス、キャラクターの存在感、そして表現や演出の細やかさが相まって、プロジェクトセカイの3DMVはとても魅力的になっています。クリエイターの皆様には、いつも素晴らしい作品を創作していただき、感謝申し上げます。
そしてこの記事をお読みいただいた皆様に、3DMVの良さが少しでも伝われば幸いです。