セカイの音へのこだわり

2023年3月11日

プロセカの音に夢中になっている一丁の豆腐です。

このゲームはすごいですね。たくさんのプロの方が集まって最高のものを目指しています。音に関しても、びっくりするくらい作り込まれていると感じます。

この魅力をもっと多くの方に知ってもらいたくて、運営がどのようなこだわりを持って制作しているのか、ユーザー視点で見つけたポイントを共有いたします。

ボーカルが目立っている

まず、ミックスの良さについてお伝えします。プロセカの書き下ろしやカバー曲は、ボーカルが前面に出てすごく映えていると思いませんか。とても聞きやすく、キャラクターたちの魅力が引き立っています。

Guianoさんの「私は、私達は」という曲を見てみましょう。

YouTubeにある可不ver.では、ボーカルが小さめ、低音が強めになっています。また、静かに語るような部分とドーンと主張してくる部分がはっきりしていますね。ダンスミュージックらしく静と動を感じられます。

一方で、モモジャンver.ではボーカルが大きいです。雫さんの声が部屋中に広がっていきます。また低音は比較的抑えられていて、全体的にスムーズでまとまっているように聞こえます。抑揚が小さいとも言えますが、その分、主役はボーカルだということがはっきり分かります。

どうやら、セカイではキャラクターたちの声が映えるよう、一貫して調整されているようです。たとえ原曲がリズム中心のEDMだったとしても、セカイのために工夫されています。実際、ストーリーでは主人公たちが主役ですし、プレイヤーもそれを期待しているはず。

クリエイターさん、エンジニアさんが素晴らしい仕事をしていますね。

音色が心地よい

次は音色の美しさについてです。

セカイのメンバーたちが歌っている曲、特に書き下ろし曲を聴くと、心地よさを感じます。主観的な部分なので表現が難しいですが、甘くて柔らかい音がします。スイートスポットともいいますね。

音が適度に調整されているおかげで、ボーカルはその場で歌っているように感じますし、使われている楽器それぞれにその場で慣らしているようなリアルさ、存在感があります。YouTubeに上がっている公式インスト集を聞くと分かりやすいです。

マニアックな話ですが、10〜20kHzの周波数が適切になっているのかなと思います。指と指を擦り合わせた時に聞こえるサーというような高音のところですが、制作環境によって違いが出てしまいやすい部分で、音量が大きすぎるとキンキンして騒がしいように感じます。ここが正しく調整されているおかげで、自然な音になっていると考えています。

作りが統一されているので、おそらく同じエンジニアさん達がミックス・マスタリングをしているのでしょう。調整には相当な時間がかかっているはずです。いつもありがとうございます!もし私が音響の仕事をするなら、リファレンス(比較の基準)にしたいくらいです。

MVの音ズレがない

プロセカのMVは臨場感がすごいですね。もちろん演出やモーションの滑らかさもありますが、映像と音声のタイミングが一致していることも大きく貢献していると考えます。

MVを再生したときの音声遅延は、ゲーム設定の数値をそのまま使用しています。ゲーム部分が遅延なくプレイできているなら、MVも快適に視聴できます。それにより、動きと音がぴったり同期しています。

試しに遅延の設定を大きくずらしてみましょう。すると、MVの映像と音声がズレて、口パクのように見えてしまいます。

近年ではイヤホンに合わせて自動的に遅延が調整されることもありますが、手動で微調整できるのは音ゲーであるプロセカならではと思います。

安定して良い音質

MVはもちろん、ゲームプレイ中でも滑らかに、良い音質で再生されます。

音質が安定しているのは、データ圧縮方法のおかげでしょうか。株式会社CRI・ミドルウェアが開発したHCAコーデックが用いられていますが、これには音質を保ったままデータサイズを小さくでき、また負荷が軽く、ループ再生させやすい、といったゲーム開発段階のメリットがあります。仕様により高音が不自然になる場合はあるらしいですが、プレイ中は気になりませんでした。

音質に限っていえば、YouTubeなどで使用されているOpusはさらに高音質という調査結果があります。ところが、ゲーム開発ではあまり採用されていないようです。将来は一般的に使われるようになるかもしれませんね。

アプリ内の楽曲は、CDのようなロスレス音源と比べると少し平坦な感じに聞こえます。しかし、デバイスのミキサー機能やサンプリングレート変換機能の影響も考えられるため、一概にコーデックのせいとは言えません。スマホゲームという制約の中で、十分に満足できる音質を維持していて素晴らしいです。

ボーカロイドたちの声があまりにも自然

イベントライブのMCを聴いていて思うんです。

ミクの話し方が可愛すぎます!

おかしいです。もう10年くらいミクの声を聞いてきたはずなのに、違うんです。こんなに愛嬌のある声をしていたでしょうか。抑揚がもう人間の女の子のそれなんです。話す内容も全部理解できてしまいます。一体どういうことなの…?

ほぼ間違いなくニュータイプの初音ミク(初音ミクNT)が使われていますが、エンジニアの調整だけでなく、機械学習が使われているという噂もあります。他のボーカロイドについても、V4Xなど最新の技術が導入されているのでしょう。

セカイによって調声が異なっているので好き嫌いは出てくるかと思いますが、それぞれのキャラクターの声が全体的に聞き取りやすく調整されていると思います。歌詞を見ないと理解できないという昔のイメージを持っていた自分としては、衝撃でした。もちろん独特の平坦さがあって人間っぽくないところはあるのですが、毎度びっくりします。

まとめ

今回は音について取り上げました。

色々な制約のあるモバイルゲームでありながら、プロセカは期待以上の音を楽しめます。楽曲のミックスではキャラクターの魅力が引き出され、音色は何度でも聴きたくなる心地よさがあります。さらに、映像と音声も同期できて、再生環境にかかわらずぴったりで快適です。ボーカロイドの調声も素晴らしく、違和感なく聴くことができます。

長年愛されてきたボーカロイドを中心にしたコンテンツ、そして人間のキャラクターと一緒に歌わせる、という高いハードルを飛び越えていくところに、制作陣の熱心さと技術力を感じます。

普段のプレイ中はあまり意識に上がらない部分の話でしたが、このゲームのクオリティの高さについて少しでも共有できたなら嬉しいです。

プロセカの音楽がこれほど素晴らしいのは、運営と音響チームの熱意があるからこそ。

これからも彼らの力作に期待しております!